ダイハツ ミラ イースとスズキ アルトは、軽自動車同士であり他の車情報メディアでも良く比較されていますが、ここでは、普通自動車のマツダ デミオも含めて比較してみたいと思います。もちろん、普通自動車のデミオと、軽自動車のミラ イース・アルトとでは、価格、ボディーの大きさ、重量、エンジンのトルク・最高出力、いずれも大きく異なるので、本来は比較の対象ではないのかもしれませんが、コンパクトな車が好きで、走りやスタイリングも重視したい人にとっては、意外に比較検討の対象になるかもしれないと思うからです。
なお、デミオはガソリンエンジンモデルとディーゼルエンジンモデルがありますが、比較対象はガソリンエンジンモデルにしています。現行のデミオは、ディーゼルエンジンモデルの方が販売比率が高いですが、個人的に、直噴ディーゼルターボエンジンの耐久性に疑問があるからです。リコールもありましたしね。ガソリンエンジンであっても、やはり直噴エンジンの耐久性には、疑問があるのですが、ディーゼルよりはましかなぁと。
マツダ デミオ
エンジン
エンジンは、デミオが、最大トルク121N·m、最高出力68ｋWで、ミラ イース・アルトに対して大雑把に言えば約２倍となっています。軽自動車の660ccの排気量に対して、デミオは約2倍の1,300ccの排気量を持っていますから、妥当なところだと思います。
少し意外なのは、2014年12月22日販売開始のアルトよりも、2017年5月9日販売開始で約2年4ヶ月後発のミラ イースの方が、最大トルク・最高出力ともに低いことです。ミラ イースの最大トルクは57N·mで、アルトの63N·mに対して、約90%に留まります。同様に、最大出力は36約kWで、アルトの38kWに対して約95%に留まります。また、最大トルク、最高出力のいずれの発生回転数もアルトの方が低いです。
ちなみに、トルクは物を動かす力のことで、加速性能に関わります。最高出力は仕事量のことで、最高速度に関わります。日本の道路で、最高速度を出すことはないはずなので、「速い車」というのは、大雑把に言えば、最高出力が高い車よりも、最大トルクが大きい車のことになります。
| 形式 | 種類 | 最大 トルク N·m/rpm |
最高 出力 kW/rpm |
|
| ミラ イースG | KF型 | ポート噴射 3気筒 DOHC |
57/5,200 | 36/6,800 |
| アルトX | R06A型 | ポート噴射 3気筒 DOHC 吸排気VVT |
63/4,000 | 38/6,500 |
| デミオ13S | P3-VPS型 | 直噴 4気筒 DOHC |
121/4,000 | 68/6,000 |
トランスミッション
トランスミッションの性能は、変速比だけで測れるものではありませんが、とりあえず数値で比較できる変速比で見ると、Jatco CVT7を採用するアルトが「3.980～0.553」で一番高くなっています。この数値は、デミオのSKYACTIV-DRIVE 6速ATの「3.529～0.594」よりも高くなっています。変速比が高いと、高速ギア側では、最高速度を上げられる。低速ギア側では、より強い力を出せるといったメリットがあります。
| 型式 | 変速比 | ||
| ミラ イースG | ？ | CVT ロックアップ機構付 |
3.327～0.628 |
| アルトX | Jatco CVT7 | 副変速付CVT ロックアップ機構付 |
3.980～0.553 |
| デミオ13S | SKYACTIV-DRIVE | 6速AT | 3.529～0.594 |
トルクウェイトレシオ（TWR）
加速性能に関わるトルクウェイトレシオは、デミオ、アルト、ミラ イースの順に優れています。大雑把に言えば、数値が低いほうが、加速性能が優れることになります。
| 車両重量 kg |
最大トルク N·m/rpm |
TWR kg/N·m |
|
| ミラ イースG | 670 | 57/5,200 | 11.75 |
| アルトX | 650 | 63/4,000 | 10.31 |
| デミオ13S | 1,030 | 121/4,000 | 8.51 |
パワーウェイトレシオ（PWR）
最高速度に関わるパワーウェイトレシオは、デミオ、アルト、ミラ イースの順に優れています。より数値が低いほうが、大雑把に言えば、最高速度が高いことになります。
| 車両重量 kg |
最高出力 kW/rpm |
PWR kg/kw |
|
| ミラ イースG | 670 | 36/6,800 | 18.61 |
| アルトX | 650 | 38/6,500 | 17.10 |
| デミオ13S | 1,030 | 68/6,000 | 15.14 |
燃費
燃費は、車重が650kgと一番軽く、トランスミッションの変速比も高く、更に最大トルクの発生回転数も4,000rpmと低いアルトが37.0km/Lで一番良いです。ミラ イースは、34.2km/Lで二番。デミオは、24.6km/Lで三番となっています。
| JC08モード km/L |
|
| ミラ イースG | 34.2 |
| アルトX | 37.0 |
| デミオ13S | 24.6 |
安全性能
衝突安全性能は、やはり普通自動車のデミオが一番良いです。自動ブレーキの性能はステレオカメラを備え、唯一、歩行者にも対応しているミラ イースが一番良いです。残念ながら、アルトは、サイドエアバックがオプションでも選べないなど、安全性能では一番低いです。
衝突安全性能
| JNCAP 自動車アセスメント 総合評価点 |
|
| ミラ イースG | まだ未評価？ |
| アルトX | 158.2 |
| デミオ13S | 185.7 |
サイドエアバック
| ミラ イースG | G標準装備 |
| アルトX | なし |
| デミオ13S | 13S標準装備 |
自動ブレーキ
| 方式 | 対車両 自動ブレーキ |
対歩行者 自動ブレーキ |
|
| ミラ イースG | ステレオカメラ | 80km/hまで | 50km/hまで |
| アルトX | レーザーレーダー | 30kmまで | なし |
| デミオ13S | 近赤外線 レーザーセンサー |
30kmまで | なし |
スタイリング
スタイリングは、ミラ イース、アルト、デミオのどれもなかなか優れていると思いますが、強いて一番を決めるなら、万人受けするミラ イースかなと思います。アルトは、斬新なメガネ顔のデザイン魅力的ですが、人によって好き嫌いが分かれそうです。デミオの「魂動デザイン」は、かっこいいと思いますが、ただ一点、バンバーをまたがって構成されるフロントグリルの造形が、少し大口過ぎるかなと思います。
まとめ
この３車であれば、好みで選んでいいかなぁと思います。絶対的な性能や車格を求めるのであればデミオかなとは思いますが、デミオの価格は、グレードにもよりますがミラ イース・アルトよりも50万円ぐらい高いです。また、狭い道路、駐車場での取り回しの良さは、軽自動車には負けます。アルトとミラ イースは、確かに最大トルク・最大出力ではデミオの約半分ですが、トルクウェイトレシオ・パワーウェイトレシオで見ると、車重が軽いので約1～2割の差に留まります。アルトとミラ イースの軽自動車同士で比較すると、走りの基本性能は、アルトの方が良いですが、安全性能・デザインでは、ミラ イースが良いと思います。